
「自由学習タイム」は、ただ自由に好きなことをする時間ではありません。これは、一人ひとりの興味・関心、気分、集中力、そのときのエネルギー状態などに合わせて、「いま自分がやってみたいと思えること」や「これなら少しだけ取り組めそう」と感じることを、探究コーチと一緒に選び、取り組む学びの時間です。
学校や塾、家では、多くの場合「みんなと同じ課題に取り組む」ことが基本となります。たとえば、学校では「今は算数の時間だから、この問題を解きましょう」、塾では「テストに向けて、この単元を勉強しましょう」、家では「宿題を終わらせてね」「そろそろ勉強の時間だよ」といった声かけが多くなります。
こうした学習スタイルは、一定の知識を身につけたり、集団で学ぶ力や協調性、計画的に取り組む力を育むうえで、とても大切です。
しかし、その一方で、子どもたちの気持ちは日々変化しており、「今日は気分が乗らない」「体調がいまひとつ」「やり方が分からず戸惑ってしまう」といった理由で、思うように学びを進められないことも少なくありません。
そんなとき、自由学習タイムは「いまの自分」に合った学びや過ごし方を、自分で選ぶことができる時間です。
たとえば、「今日は元気だから、プリントに挑戦してみよう」「少し疲れているから、読書やお絵描きでゆっくり過ごそう」「なんだかモヤモヤするから、コトリ日記に気持ちを書いてみよう」「最近気になっていることがあるから、インターネットで調べてみよう」「アイデアが浮かんだから、工作や創作活動にチャレンジしてみよう」「たまっていた宿題を、できるところから少しずつ進めてみよう」「目標に向かって頑張りたいから、受験勉強やテストの予習に取り組もう」「今日は、少し先の学年の算数や理科のプリントに挑戦してみよう」「分からないことがあるから、前の学年で学んだ理科や社会のテーマを調べてみよう」といったように、その日のコンディションに合わせて自由に学びをデザインできます。
段階的に「自分で選び、自分のペースで取り組む経験」を積み重ねることで、子どもたちは少しずつ、学びに向かう力や、自分で考え行動する力の土台を作ることができます。自由学習タイムは、まさにその土台づくりの時間です。


「ひとつだけ」から始める小さなチャレンジ
勉強や作業って、がんばらなきゃ…って思うだけで、ちょっと重たく感じるときってないですか?
体がだるい日、気分が落ち着かない日、やる気が出ない日──そんな日があっても、ぜんぜん大丈夫。
自由学習タイムは、いきなりたくさん頑張る時間じゃなくて、一人ひとりのいまの気持ちに合わせて動き出す時間です。
たとえば、こんなスタートでもOK
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「教科書の問題、今日は1問だけやってみようかな」
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「お気に入りのキャラクターをちょっと調べてみよう」
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「音楽を聴きながら、自分の気持ちをコトリ日記に書いてみよう」
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「算数はむずかしいけど、図形パズルならちょっとできそう」
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「今日は読む気分じゃないけど、絵本をパラパラめくってみよう」
これならできるかもって思えることを、ひとつだけ選ぶ。
それが、最初の一歩です。
1. 教科書・ワーク
教科書やワーク、お家にある問題集は、自分のペースで自由に使うことができます。
「ここがわからない」「この部分が難しい…」と感じても、答えをただ教えるのではなく、探求コーチと一緒に「どう考えたら解けるかな?」と考えていきながら、苦手なところを少しずつ練習したり、得意な部分をさらに伸ばしたり、自分のレベルや体調に合わせて進められます。
たとえば、復習や予習に取り組むことで「前よりできるようになった」という達成感を体験できたり、少し先の内容にチャレンジすることで、学ぶことが楽しいと感じられる瞬間も増えます。
2. 家にある本や図鑑
星座、恐竜、昆虫、動物など、自分が「好き!」と思えるテーマがあれば、家にある本や図鑑でさらに知識を広げてみましょう。
「どうして星座にはこんな名前がついているんだろう?」
「恐竜はどんな時代に生きていたんだろう?」
自分で気になることを調べると、ワクワクする小さな発見が生まれます。
調べたことをノートにまとめたり、探求コーチに見せたり話したりすることで、理解が深まるだけでなく、「自分で学ぶことって楽しい」と実感できる時間になります。
さらに、自分の興味から始めた学びは、学習への不安やストレスを少なくし、少しずつ学ぶ習慣を取り戻すきっかけにもなります。
「今日はこれを調べてみよう」と小さな目標を立て、それを達成できた経験が、自信や自己肯定感を育ててくれます。
3. 自分で問題やプリントを作ってみる
「草食動物の名前を当てるクイズ」や「恐竜の速さランキング問題」など、自分で問題を作ってみましょう。
「この動物は肉食かな?」「どんな食べ物が好きかな?」
問題を作ることで、知識が深まるだけでなく、自分の頭で考え整理する力や想像力も育ちます。
さらに、自分が出題者となって、探求コーチや友だちに問題を出すと、楽しく学びを共有できます。
「わー、この動物ってこんなに速く走れるんだ!」
「こんな名前の恐竜がいたんだ!」
問題を出し合うことで新しい発見が増え、学びの楽しさが広がります。
4. 探求コーチオリジナルの問題集
『探求コーチオリジナル問題集』には、「動物のすごい能力クイズ」や「身近な化学実験クイズ」など、ワクワクする問題がたくさんあります。
★の数が増えるごとにレベルアップしていくので、国語・算数・理科・社会・英語など、自分の興味や得意に合わせて挑戦できます。
苦手な教科があっても、最初から大きな目標を立てる必要はありません。
「少しだけやってみよう」「今日は1問だけできた!」という小さな成功体験を積み重ねることで、自信を取り戻しながら学びを進められます。
たとえば、★問題を3つクリアしたら次は★★問題に挑戦。
「ちょっとわかった!」の積み重ねが自信につながり、「できた!」という達成感が向上心や学びの意欲につながります。
■ 国語
「今日読んだ文章の中から、“自分ならこう書く”と思うところを1つ書きかえてみる」
→ 表現力や言語感覚を活かし、自分なりのスタイルで再構築。
創造的な発想を促す学びになります。
■ 社会
「歴史上の人物を1人選んで、“もしこの人が今生きていたら何をするか”を想像して書いてみる」
→ 単なる暗記ではなく、時代を超えた想像力を育む探究型の学びです。
■ 理科
「気になる言葉を2つだけ選んで、それを見て何を思い出すか、連想ゲームしてみよう」
→ 例:「光」と聞いて思いつくものは?「太陽!」「懐中電灯!」「花火?」
どんな連想でもOK。正解・不正解はなく、自由で楽しい時間です。
■ 学び方は自由です
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「今日は集中できるな」と思えば、どんどん取り組んでOK。
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「ちょっとしんどいな」と思えば、ほんのひとつだけでも大丈夫です。
学習の進め方も自分で選べます。
カメラやマイクのオン・オフは自由。チャットで質問することも可能です。
途中参加や途中退席もOKです。
「ちょっと休憩したいな…」と思ったら、探究コーチや友達とゲームやアニメの話をしたり、好きなキャラクターを描いたりしてもかまいません。
振り 返りの時間「コトリ日記帳」
自由学習タイムが終わったら、コトリ日記帳で振り返りの時間です。
「書かなきゃ」ではなく、**「ちょっと書いてみようかな」**と思ったときに書けるのが、コトリ日記帳です。
正解はありません。ほんのひと言でも大丈夫です。
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一次関数の「y = 2x + 1」の式が出てきたけど、2が“傾き”ってことがわかった!
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単語を3つ覚えた!
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九九の5の段がちょっとだけスラスラ言えた
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“ちょっと難しかった…”と思ったけど、最後までがんばれた
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なんとなく気分がのらなかったなあ
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途中で疲れたから、ちょっと休憩した
このように、「できた!」という達成感だけでなく、「つまずいたこと」「疲れたこと」「よくわからなかったこと」も、すべてが大切な学びのたねです。
「コトリ日記帳」は、勉強の“結果”を記録するためだけのものではありません。
むしろ大切なのは、**「その日、自分の中で何を感じたか」**に気づくことです。
そうした気づきは、自分を知る第一歩であり、**「今の自分のままで大丈夫」**と感じられる体験にもつながります。
その日の小さな気づきや感じたことをコトリ日記帳に書いてみましょう。
無理に毎日書かなくても構いません。
「書きたいときに書く」という自由さが、「書く=表現すること」へのハードルを下げてくれます。
「まだよくわからない…」というつぶやきも、大切な一歩です。
探究コーチは、そのメモを受け止め、さりげなく次のヒントや関心へつなげていきます。