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「夢を叶える小鳥」という名前には、一人ひとりが自分のペースで羽ばたけるようにという願いが込められています。

皆さんそれぞれに異なる背景と、言葉にならない葛藤を抱えています。学校に行きづらさを感じる理由は、決して一つではありません。人間関係のつまずきやいじめ、友人との関係における孤立感や不安、勉強がわからないことによる学習のつまずき、進路や受験、就職に対するプレッシャー、高校を中退してしまったあとの不安、心身の不調や疲弊、起立性調節障害、摂食障害、パニック症状といった健康上の課題、さらには今日帰る家がない、食べるものがない、親から暴力を受けている、家庭内での虐待やネグレクトにさらされている、頼れる人が誰もいないという孤独――こうした背景を抱えた子どもたちがいます。

 

それぞれの状況はひとつとして同じではなく、無理に頑張り続けたり登校を強いられることで、心のエネルギーが削られてしまうことも少なくありません。そうしてやがて「どうせ自分なんて」「生きていても意味がない」という諦めや無力感が生まれ、「自分らしさ」や「やりたいこと」を見失ってしまうお子さんも多いのです。

だからこそ私たちは、学びや休息の場を学校や家庭だけに限定しないことが、回復と成長のきっかけになると考えています。教育の選択肢を広げることで、子どもたちは少しずつ前向きさを取り戻すことができます。最初の一歩はとても小さくて構いません。

 

ほんの数分の学びでも、誰かと一緒にごはんを食べることでも、自分の声を聞いてもらえることでも、それが小さな成功体験となり、やがて「自分にもできるかもしれない」という自己効力感が芽生えます。

 

この感覚は希望となり、そしてその希望が、やがて夢へと繋がっていくのです。「夢を叶える」という言葉は、今すぐ大きな夢を掲げることを求めるものではなく、その子の歩みに合わせて希望の明かりを絶やさずに育んでいくためのものです。

もちろん、夢を持ったとしても、現実とのギャップに直面すると「無理」「できない」「失敗したくない」と感じることは自然なことです。私たちが大切にしているのは、こうした不安を否定しないことです。

 

私たちは「できることを、できる分だけ」少しずつ試せるスモールステップを一緒に設計し、うまくいかない日があっても、それを“失敗”ではなく「次に活かすための過程」と捉えるよう支えます。その挑戦の中で、子どもたちが自分の新しい一面に気づくことができたなら、それは一生ものの宝になります。

「小鳥」という言葉には、そうした支援のあり方が象徴されています。小鳥は大きな空を一気に飛ぶのではなく、枝から枝へと小さな距離を確かめながら進む生き物です。これは、子どもたちが一歩ずつ着実に進むスモールステップの学びそのものです。そして、小鳥には必ず「巣」があります。それは安心して休める場所であり、評価や比較から距離を取り、心と体を整えるための“安全基地”です。さらに、小鳥のさえずりは「自分の声」を象徴しています。好きなこと、苦手なこと、将来やってみたいこと──それを自分の言葉で表現できるようになることを、私たちはとても大切にしています。

 

そして小鳥は、ひとりで生きるのではなく、群れで支え合いながら生きています。私たちも同じように、家庭・学校・医療・福祉とつながり、子どもたちが一人で抱え込まなくていい環境を整えていきます。

フリースクール「夢を叶える小鳥」では、安心して羽を休められる“巣”を用意し、小さな翼でも自分のタイミングで空へと飛び立てるよう伴走します。そして、どんな過去や環境であっても、その子の「今」と「未来」が大きな空につながっていくための架け橋となることを目指しています。

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